■*暁*銀魂*■
ノベル交流図書館様にて連載中。↓
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№1
全ての終わり、全ての始まり。
「っあ~…痛い…」
あたしは痛みで目を開く。
如何してこんなとこにいるんだっけ?
確かあいつを探してて…
そうだ、崖から落ちたんだった。
あたしは傷で痛む体を起こす。
そういや昨日までは此処も戦場だったんだっけか。
そんな事を考えながらふらふらと歩きだす。
”見つけなきゃ、あの馬鹿を”
今のあたしの頭にはその言葉が何回も繰り返されていた。
瓦礫を踏み超えて進む。
本当、何処に行ったんだ? あの馬鹿は。
*
どれだけ歩いたのだろうか。
幕府はあたし達侍を見捨てて勝手に開国したし、
負けそうなあたし達を無視して天人に迎合した。
幕府に数えきれない位の憎しみを抱えてたあたしをひとりにしてあいつは置いて行った。
いっぺんシメてやんなきゃ気が済まない。
でももう疲れて…何も…出来そうに…ないや…
あたしは、街の真ん中でどたりと倒れ込んだ。
皆がこちらをちらりと見るのが分かる。
でも誰も助け起こそうとはしない。
それが正解だ。知らない奴に情けをかけるなんて阿保らしい。
……なのに。
一人だけ、あたしを気にかけた奴がいた。
そいつはどれだけつっぱねても、何度でも話しかけてきた。
仕舞にはあたしを担ぎあげてどこかに連れて行こうとする。
「何すんだ! このッ…ゴリラ!!」
「ハッハッハ!! 威勢がいいな!! まぁそう言わずついて来い、その怪我じゃ何も出来んだろう?」
…それもそうだ。
まぁあたしを悪い様に扱ったら直ぐに叩き斬る。
それで良いとするか。
-*続く*-
№2
責
あたしは狭い部屋に寝かされた。
ボロい屋敷。
野郎しか居ない場所で野郎に看病される。
あまり気持ちのいいものじゃない。
「…こりゃひでぇな……何があった?」
”土方”、と呼ばれる男が話しかけてくる。
「…うるさい…黙ってろ…男は静かな方が好かれたりするもんだぞ」
「そうはいかねぇ。おめーは近藤さんの客人だからな。話せ」
尚もしつこく聞いてくる土方にどんどんイラついてくる。
「うるさい!! あたしは人探ししてたんだ!! それをあのゴリラに拾われて!!
それにあたしは「おめー」じゃない!! 朱音暁っていう立派な名前があるんだ!!」
寝転がりながら言ってもあまり迫力は無いが。
一気に捲し立てるあたしを黙って見ていた土方はフッ、と笑う。
「なんだよ、何笑ってるんだ!? 確かにこの出で立ちだったら名前で呼びたくもねぇだろうけど…」
『兎に角、奴を探さないと』。そう、まだ言葉を続けようとしたら。
土方の手が頭に乗せられて思わず言葉を途切れさせる。
「…な…なにすんだよ…」
赤く染まる頬に気付いて慌てて顔を背けた。
「馬鹿な真似したら…斬る」
「そりゃあ穏やかじゃねぇな」
「こういう性格なの!」
そこまで言って、口を閉じた。
今、あたし、どんな顔してた?
なんだか楽しそうな顔、してなかった?
そんな顔していい訳がないじゃない。
沢山の仲間が死んで、沢山の人が怒りを覚えたのと同等に、
敵…天人側だってそうに違いないのだから
そしてその沢山の敵を斬ったのはあたしだから。
綺麗事ばかり並べたって無駄。
だから…あたしは”仇討”なんて事は絶対しない。
でも…自分の”憂さ晴らし”はする。させてもらう。
それまで絶対に笑わない。
そう決めてた。
なのに…なんで笑った?
気に食わない。自分に苛立つ。
責めたって責めたって、何も変わらないのは知りきっているのに
-*続く*-
№3
歯車を廻し始める運命は。
「ほら、食べろ」
「……うわぁ……本当にコレ、あたしが食べる訳?」
「そうだ。なんだ? あまりの美味しい匂いに言葉を無くしたか」
……うん、言葉が無いわ。本当に。
今あたしの目の前に並べられているのは、ご飯。
だけど何なんだろう、”ご飯”って言ったら駄目な気がする、あたし。
だってね? このご飯と来たら、もう……
「いくら男所帯っつったって、これはないんじゃない? 無駄に大盛りだし、それに……」
「?」
「見た目悪いわ、変な臭いするわ……なんなの、コレ?」
「メシ」
違うよ、これは可哀そうなご飯だよ。哀れでならねぇよ。
「食えねェってのか?」
土方が開いた瞳孔で聞いてくる。怖いよ、お前。
それにしても……
「違う。こういうの……久し振りだから」
もう駄目だ、笑いが止まらない。
「? 久し振り?」
うんうん、と笑いで言葉に成らない分、首を縦に振るので補う。
「あたし、餓鬼の頃もこういうご飯食べてたから」
これに関しちゃあ、笑わずにはいらんないわ。
本当は、初めてこういうご飯見た時、廃棄物(ゴミ)だと思ったんだけどね。
あたしの口には合わないと思ってた。
「あー、もういい。あたしに任せて。ご飯作るのなら得意だから」
「おまッ…!! 怪我してんだから寝とけって!!」
「五月蠅い男は嫌われるぞー? 十四朗君?」
こうやって虐めるのも、また一興か。
*
「ほら!! 食え、お前達!!」
あたしが作り直したご飯を目の前にして、男連中がどんどん食っていく。
懐かしい様な光景だ。
「……スゲェや」
そんな時、あたしの横に座っていた男の子が口を開いた。
「このメシ……懐かしい味がする」
「当たり前だろ? あたしに料理を教えたのは、あたしの先生なんだから」
「へェ……で、あんた、名前は? 俺は沖田でさァ」
自分から名乗る、お前は偉いぞ。
「あたしは、朱音 暁。暁でいい」
「んじゃ、暁姐さん。これからも毎日このご飯作って下せェ」
「……は?」
あたしは、傷が癒えたらすぐここから出るのに。
やめてよ、そんな笑顔で言うのは。
なんであんた等、そんなにあたしを笑顔にさせるの?
あたしの憎しみを和らげるの?
-*続く*-